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【映画感想】鑑定士と顔のない依頼人

鑑定士と顔のない依頼人

鑑定士と顔のない依頼人

ある日舞い込んだ、ある屋敷の美術品鑑定依頼。待ち受けていたのは壁の向こうから姿を現さない女。
真実が明らかになる時、誰もがその"衝撃"に飲み込まれる。

引用元: allcinema

公開日:2013年12月13日
鑑賞日:2016年12月3日(DVD)
上映時間:124分
オススメ度:

監督
ジュゼッペ・トルナトーレ

出演者
ヴァージル・オールドマン(ジェフリー・ラッシュ)
ロバート(ジム・スタージェス)
クレア・イベットソン(シルヴィア・フークス)
ほか



簡単な作品紹介

一流の美術鑑定士であり、カリスマ的なオークショニア「ヴァージル・オールドマン」。ある日、彼のもとに両親が亡くなったので、残された家具や美術品の鑑定をして欲しいと若い女性からの依頼が届く。ところが肝心の依頼人はまったく姿を現さない。
憤慨するヴァージルだったが、屋敷の地下で貴重な名品の一部を見つけてしまう。そして部品を集めるためにも屋敷に出入りしている内に、姿を現さない依頼人に興味を抱き始める。

 

 

ストーリー(ネタバレあり)

美術鑑定士ヴァージル

ある屋敷の美術品を的確に鑑定していく、一流美術鑑定士「ヴァージル・オールドマン」。彼は鑑定師でありながらカリスマ的なオークショニアでもあった。今回もただの汚れた板切れにしか見えないものを、歴史的な絵が描かれていると鑑定し、依頼人を驚かせていた。
孤独を愛し、あまり他人と関わることのない変人とも知られていた彼だったが、実はもう1つ裏の顔も持っていた。それは目をつけた美術品がオークションに出されると、鑑定内容を偽り出品し、友人の「ビリー」に安く落札させ、それを買い取ることでコレクションにしていたのだ。ヴァージルは集めた女性の肖像画を秘密の部屋に飾り、それらを恋人として眺める日々を送っていた。

 

ある日「クレア」という若い女性から電話がかかってくる。最初は秘書につなごうと考えたヴァージルだったが、両親が多くの美術品を残し亡くなったこと、鑑定するならヴァージルにお願いしたいことを告げられ、渋々屋敷に向かう。雨の中、屋敷の向かいにあるカフェで時間をつぶすも一向に依頼人は現れない。そのカフェには、謎の数字を呟く小人症の女性が屋敷を眺めていた。
憤慨したヴァージルはもう会わないと電話でクレアに怒鳴りつけるが、事故にあったため約束の時間に向かえなかったという話を聞き、もう1度だけだと屋敷へと向かう。ところが、今度は屋敷の管理人の「フレッド」しかいなかった。彼に導かれ屋敷内を確認すると、確かに多くの美術品が飾られていたのだった。その中で、ある部品を見つける。

 

馴染みの修復家「ロバート」にその部品を見せるも、何の部品かは分からないという。しかし、彼はあらゆるものを組み立て、修理することが出来る天才であった。貴重な部品であることは間違いなさそうなので、もう少しパーツがあれば全体像が見えてくると語る。

 

クレアは小説を書いて生計を立てているが、フレッドは会ったこともないという。結局、クレアに会えないままヴァージルは屋敷の美術品の鑑定を始める。ところが契約書を交わすのにどうしても本人の署名が必要になってくる。いい加減に姿を現せとクレアを問い詰めるヴァージルだったが、屋敷内の音と電話から聞こえてくる音が同じことに気づく。家の中にクレアがいると確信したヴァージルは探してみるも見つからない。やり取りをしている内にクレアはヒステリックになってしまい言い争いになるが、なんとか鑑定は続けることになるのだった。

美術品を鑑定している合間、部品を拾い集めるヴァージル。ロバートによるとこれは18世紀に作られた「オートマタ(自動人形)」の部品だという。ある程度のパーツが集まれば復元できると張り切るロバート。

 

パーツを集める内にクレアが隠し部屋にいることが分かり、少しずつ会話できるようになるヴァージル。そしてクレアが「広場恐怖症」となり、長年引きこもり生活をしていることが分かる。ヴァージルは恐怖症のことを調べ、解決方法を探していく。他人との接点がほとんどないヴァージルに「貴方と私は似てるわ」と語るクレア。そして扉越しに話している間に2人の会話は鑑定士と依頼人の壁を越えたものに変わっていく。

 

依頼人のクレア

クレアの姿がどうしても気になったヴァージルは、誰かがいると出てこれないという言葉を思い出し、部屋を出るふりをして隠れて様子を見ていた。すると隠し部屋から出てくるクレア。その美しさに思わず見とれてしまうヴァージル。それからというもの、ヴァージルはプレイボーイのロバートにクレアと打ち解けるようになるためにはどうすればいいのか相談するようになる。

 

クレアが気になってしまうヴァージルは髪の色も変え、持ち歩かなかった携帯も持ち、クレア好みの姿になっていく。ある日、再び彼女の姿を見ようと部屋を出て行くふりをしてクレアを眺めていたヴァージルだったが、うっかりペンを落としてしまう。誰かがいるということに気づいたクレアはパニックになり部屋に篭ってしまう。大慌てで屋敷を飛び出すヴァージルだったが、クレアから怯えた様子で電話がかかってくる。
クレアを慰め屋敷に戻るヴァージル。扉越しに「誰かいる、追い出してくれ」と泣き叫ぶクレアに対し、実は自分が覗いていたことを告白する。鑑定から身を引くと立ち去ろうとするヴァージルの前についにクレアが姿を現すのだった。

ヴァージルとなら一緒にいても大丈夫そうだと語るクレアに、どんどん心を奪われるヴァージル。クレアは自分の母親の肖像画だと一枚の絵を見せる。妖精のようで美しかったと語るクレア。
ヴァージルは初めての恋愛感情に戸惑いロバートにさらに相談をもちかけ、ついには隠れて姿を見て欲しいと懇願する。2人が食事をする様子を隠れて見ていたロバートは、あんな素晴らしい女性は逃がしてはいけない、と助言をするのだった。

 

ヴァージルは相変わらずオークションでビリーと共に絵画を騙し買おうとした、高級な絵がコレクターの手に渡ってしまう。ヴァージルはビリーの腕が鈍ったせいで大損をしたと詰め寄る。しかし、ビリーはその絵をコレクターの手から買い戻し、ヴァージルへと渡す。ビリーは報酬は買い戻した額でいい代わりに、昔のように対等な友人に戻ろうと告げるのだった。

 

オートマタも大分形になってきた頃、クレアの誕生日に花束をプレゼントするが、出来上がった美術品の目録が安すぎるとヒステリックに怒り出し、そしてすぐに言い過ぎたと謝るクレア。クレアは精神的に不安定だったのだ。洋服や化粧をプレゼントするヴァージルだったが、外に連れ出そうとしているだけだろうと暴れるクレアに根気よく付き合う。そしてクレアの隠し部屋に入ると、中にオートマタの残りのパーツが保管されているのであった。

いよいよオートマタも完成するという頃、ロバートの恋人「サラ」にロバートが最近クレアという女性の話ばかりする、と相談を受ける。ロバートがクレアを狙っていると考えたヴァージルは、ついにロバートにオートマタの組立代金を支払うので関係を切るように突きつけ小切手を渡す。
しかし、そこからクレアと連絡がとれなくなってしまう。街中を探すヴァージルとフレッドだったが、出版社に問い合わせても誰も見ていないという。ロバートも探すのを手伝うことになり、ヴァージルはオークションを進行するが気が気ではなくミスを連発してしまうのだった。

 

結局、クレアを見つけることが出来なかったヴァージルは館に他に隠し部屋があるのではと考える。唯一調べていなかった天井裏にいくとクレアの声が聞こえ、壁の中にある隠し部屋に気づく。部屋にはクレアがおり、ヴァージルは思わずクレアを抱きしめる。
部屋の風呂に入り、落ち着いたクレアとキスをするヴァージル。そしてついに2人は結ばれるのだった。

ヴァージルはロバートに謝罪し、ロバートは小切手をやぶき捨て「金ではないんだ」と語り仲直りをするのだった。

 

最後のオークション

クレアと結ばれたヴァージルは引き続きプロポーズをするため、指輪をもって雨の中屋敷を訪れるが、暴漢に襲われ重傷を追ってしまう。なんとかクレアに電話をかけるが力尽きてしまうのだった。その様子を向かいのカフェの2階から見ていた小人症の女性は警察に通報をする。そして屋敷からヴァージルが倒れている様子を見たクレアは、躊躇しながらも外に飛び出し、ヴァージルに駆け寄るのだった。

 

病院に搬送され、奇跡的に助かったヴァージルは、自分の屋敷にクレアを呼ぶ。広い屋敷には人も招いたこともなければ、誰かがいるだけで落ち着かない、と話すヴァージル。そしてクレアを隠し部屋へと案内する。
飾られている肖像画に驚愕するクレア。そしてヴァージルはプロポーズをし、クレアは「何が起きようと、あなたを愛している」と告白を受け入れるのだった。

 

広場恐怖症を克服したクレアは、ロバートとサラを含めた4人で食事をし、結婚することを伝える。そして、売りに出そうと考えていた美術品をオークションにかけるのをやめようと提案し、ヴァージルはそれを了承するのだった。そして、結婚を機にオークショニアを引退することを宣言する。

最後のオークションの日、会場では多くの人に祝福され、ビリーからは「一緒に仕事ができなくなるのは寂しい」「お前は俺の絵の才能を認めてくれなかったが、お祝いに絵を送っておいたよ」と絵画を送られる。
家に戻りクレアの名を呼ぶが返事がない。使用人に尋ねると、ロバート達と一緒に出かけているという。ビリーからの絵を受け取り隠し部屋へ向かうと、飾られた絵がすべて無くなっていた。呆然とするヴァージル。そして、完成したオートマタが残され、虚しく言葉を発し続けているのだった。

ビリーからの絵を開封してみると、中からはクレアの母親の肖像画が出てくる。そして裏には「親愛なる友人ヴァージルへ ビリーより」のメッセージが書かれていたのだった…。

 

 

感想(ネタバレあり)

大ドンデン返し!という映画なんだけど、後味がものすごく悪い。

詐欺を働いていた美術鑑定士が、最終的に騙されすべてを失ったという、まさに因果応報な終わりなんだけど、モヤモヤが残る。

 

最後のシーン(ビリーが描いた絵が送られているところ)からもちろん、主犯は相方である「ビリー」のはず。そしてロバートとクレアは共犯者だ。
動機は、自分の絵の才能を批判され、詐欺の片棒を担がされ、こき使われていたことに対する恨み…だろう。だろう、というのは明確な動機が説明されていないから。ここが第一のモヤモヤポイント。

 

元々ヴァージルは、孤児院出身でお仕置きの代わりに鑑定士の仕事を手伝わされ鑑定眼を身につけていった、という経歴を持つ。だからといってやってきたことは許されることではない。かといって、ここまでされるものなのか?
主犯が詐欺の共犯者なのに、ビリーには何も天罰がくだらないのは納得がいかない。ここが第二のモヤモヤポイント。

 

そして、何より詐欺の規模が大きい+不確定要素が多すぎて周りくどい。ロバートの補佐があったとはいえ、都合がよすぎやしませんか?ビリーはヴァージルの性格を熟知しすぎでしょ。
ここが第三のモヤモヤポイント。

 

結局、60歳の童貞のおじいちゃんが色呆けしてすべてを失ってしまった…という話なんですが、なんとな〜くムダに長い感じ。
オートマタとか広場恐怖症とかそこまで活かされてた気がしない。ってか、中盤には姿見せちゃって「顔のない依頼人」じゃなくなっちゃうし…。なんとな〜く舞台設定が先にできて、そこから話を広げていって〜というイメージ。

まあ、美人な姉ちゃんやメンヘラには気をつけようぜ!という教訓にはなるかも。

 

主人公であるヴァージルがもっとクソ野郎だったら恐らく倍は楽しめたかな。昔は悪だったけど今は更生して真面目にやってます!みたいな奴に、犯した過去は消えねぇぞ…って感じにして欲しかった。
だから、冒頭ではもっとビリーにも偉そうにして欲しかったし、部下も雑に扱って欲しかった。それがクレアと出会い、段々丸くなってきたけど、犯した過去は消えないぞ!って感じならスカッとしたのになぁ。

 

ところがどっこい、これは監督曰く「ハッピーエンド」らしい。どこが!?と考えると、恐らくエンディング後に何かあったんでしょう。
「贋作の中にも真実がある」という言葉が劇中で出てきますが、大掛かりな詐欺事件の中でもクレアは実はヴァージルを本当に好きになってしまい、こっそり会いに来る…みたいな感じなのかな?
もしくは、愛を知らなかった老人が嘘とはいえ「自分にとっての真実の愛」を知ることが出来たからよかったね!って事なのか?
どちらにしろ失ったものが大きすぎる気もするけど…。

 

詐欺物に必要なのは、騙し騙されに対する「スカッと感」だと思うんですけど、この作品にはそんなものはまったく無い。
なので、ドキドキしながら最後のドンデン返しで安堵したい人にはまっっっったく向かない。
ただ、気分が滅入るようなダークな話が好きな人には胸をはってお勧めする。でも、そういう人は(タケにゃんも含めて)ひねくれてると思う。

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